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58. 市販の目薬を選ぶポイント

今回はドラックストアで販売されている目薬を眼科医が買うならどのような目薬を選ぶのかということに関するお話です。

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このページの解説は以下のYouTubeでもしています

https://youtu.be/kZKBNExwqV0

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多くのかたはドラックストアで何らか薬を購入された事があると思います。ドラッグストアで薬を購入できる事はとても便利ですよね。最近だと例えばロキソニンやアレグラといった元々は病院でしか買うことができなかった薬が病院で買うよりは値段は高いのですが、病院のものとまったく同じ成分のものを購入することができます。クリニックに行く時間がないなど緊急的に購入する際に利用できるのでとてもいいことだと思っています。このように市販の目薬でも病院で処方しているのと同じものを購入できたりしますが、一方で購入の際に注意する成分があるというものもありまして眼科医が点眼を購入するならどのような目薬を選ぶのかという事に関してお話させて頂きます。

市販の目薬はいろいろ種類があります。ドライアイや花粉症、疲れ目の目薬など様々です。外来の患者さんでも中には症状に適していない目薬をさされて目に悪影響を及ぼしている方もおられます。高い目薬であればあるほどよいだとか、ほとんどの目薬は第2類医薬品と第3類医薬品なのですが、有効成分が多く含んでいるのが第2類医薬品なのでそちらがいいと思ってさしていたという患者さんが多くおられます。目薬はこういう事に注意して購入した方がいいですよというポイントを3つお話させて頂いた上で購入するならこの目薬がいいですというのをお話させて頂きます

まず一つ目、目薬に含まれている防腐剤や血管収縮剤、清涼剤の3つが含んでいないものを選んでください。防腐剤は塩化ベンザルコニウムというものです。防腐剤は目薬の中に雑菌が繁殖するために入っている成分なのですが、この塩化ベンザルコニウムは角膜の表面に傷をつける原因になる場合があります。中には目薬を容量を守って使用されていない方もおられ、症状がよくならないからといった理由で1日に何度も点眼をさしたりするような事があるんですね。防腐剤は目に対する刺激が強く、気づかないうちに目の表面の角膜に傷ができて穴ができたりします。用法を守れば特に問題はありませんが、さしすぎないように注意してください。血管収縮剤は塩酸ナファゾリンという名前であったり塩酸フェニレフリンという名前のように塩酸〇〇とついているものです。これは充血をとるということでパッケージに書かれております。この成分は血管を収縮させて充血を一時的になくなるのですが、効果がきれたらまた充血が出てくるだけでなくリバウンドといってかえって更に充血する原因になることがあります。充血の原因はアレルギーであったり感染症であったり様々ですがこの原因を解決しない限り充血は治りません。このような血管収縮剤は充血を一時的にとるだけのものであって根本を治すものではありませんので注意が必要です。そして清涼剤です。これはカンフルやメントールといった成分が含まれているものです。これは医療用医薬品には含まれておりません。すっきりするから目に効いている感じがするということで使っている患者さんの話を効くとさし心地はかなりよいようで同じようなものが医療用医薬品ではありませんかと聞かれたりします。一時的な眠気覚ましで使うなどではいいと思いますが、このような成分は目への有効成分が含まれているわけではありませんので注意してください。

そして2つ目ものもらいが治るといった目薬です。抗菌薬含有とかかれていたります。市販の目薬で使う抗菌薬はどの目薬もスルファメトキサゾールという弱い抗菌薬しか含まれておりません。ものもらいができたけど市販の抗菌薬の目薬をさしても効かないのできましたという経験は外来でたくさんしてきました。このスルファメトキサゾールという抗菌薬は効果が弱いためほとんど効きませんしもちろん医療用医薬品にはこの成分が含まれているものはありません。

弱い抗菌薬を使うと単純に効かないだけでなく耐性菌といって治療する上で抗生剤に抵抗するやっかいな菌ができる原因になったりします。ものもらいは適切な治療が遅れるとしこりが残りやすい特徴もありますし、感染性の角膜炎なら同様に視覚障害を残す場合もあります。目やにがでるなど感染を疑う場合は自己判断せずにすぐに受診されるようにしてくださいね。

最後に3つ目です。アレルギーの点眼薬です。市販のアレルギー薬はたくさんでているのですが、どんな目薬でも含まれているものはクロモグリク酸ナトリウムというものです。これはケミカルメディエーター遊離抑制作用というものです。簡単にいいますと痒くなる前にさしたら一定の効果が期待できるものです。このクロモグリク酸ナトリウムは昔はインタールという名前で医療用医薬品としても取り扱われていたことがあったのですが、現在ではもっと痒み成分を抑えれる優れている目薬がありまして現状はほとんど取り扱いがない目薬です。すでに痒みがある場合にいくらこの成分がふくまれている目薬をさしても効果はほとんど期待できないんですね。痒み止めは医療用医薬品で優れいている目薬が現在たくさんありますので是非そちらを使用していただきたいと思います。医療用医薬品の方が効果が期待できるだけなく、市販の目薬よりも安価です。

では具体的にどのような目薬がいいかといいますとドライアイで悩まれているなら簡単にいうなら第三類医薬品の目薬を購入すればまず間違いありません。第三類医薬品には充血をとる成分であったり強い防腐剤がはいってはいけないというルールがありますのでこのような成分による目への影響は心配しなくていいです。なのでドライアイでということなら第三類医薬品の目薬を使用してみるのはよいです。では抗菌薬、アレルギーの目薬はどのようなものを購入すればいいのかといいますと残念ながら推奨できるものがない状態です。診察を受けて治療されるのが現状は確実です。クリニックへの受診を促すわけでは決してありませんが市販の目薬で目を悪くしてきた方を多くみてきたこともありますので、治療が手遅れになる前に適切な治療を受けていただきたいと思います。

今回の話をまとめますと

①市販の目薬に含まれている血管収縮剤、防腐剤、清涼剤がないものがよいです。

②市販の目薬に含まれている抗菌薬はスルファメトキサゾールというほとんど期待できないものしか含まれていません。

➂アレルギーの目薬はクロモグリク酸ナトリウムという痒くなってからでは効かない成分が含まれています。

④第三類医薬品を使うのが無難です。

という4点です。市販の目薬はこのように注意が必要でのこの成分は不要なのになと思いながら市販の点眼を眺めている事が多いです。その中で私がおススメしたいのは3つあげるとソフトサンティアという防腐剤フリーの目薬、ヒアレインSという要医療用医薬品の目薬ですが乾き目の目薬、こちらは医療用医薬品とまったく同じものです。そして最後はウェルウォッシュアイという花粉症の時に花粉を目から洗う目洗い用の目薬です。これらはとてもいい目薬で迷ったら購入されていいと思います。ただし用法容量は守るようにしてくださいね。


(2022.2.11)