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39. ブルーライトカットの眼鏡は本当に必要なのか

ブルーライトと聞くと「悪い光」というイメージがあるかもしれませんが、そのブルーライトをカットする眼鏡をすることが実は危険かもしれないということに関してお話させて頂きます。
私は以前にブルーライトカットの眼鏡に関するお話をさせて頂きましたが、やはり子供に積極的にするのはよくないかもしれません。というのは新聞等で載りましたのでご存知の方もおられるかもしれませんが、日本眼科学会、日本眼科医会、日本近視学会など様々な学会から2021年の4月に「小児のブルーライトカット眼鏡装用に対する慎重処方」という意見書が公開されました。
これは小児にブルーライトカット眼鏡装用は発育に悪影響を与えかねないという内容です。お子様にブルーライトカットの眼鏡をされている方も注意が必要ですし、大人の方も注意が必要です。
なぜ、ブルーライトカットの眼鏡が目にとって危険なのか、逆にブルーライト眼鏡を使うときはどういうときなのか。これに関してお話したいと思います。
まずはじめにブルーライトに関して簡単にお話します。ブルーライトとは可視光線の一部で380nm〜500nmの波長の光です。この波長はブルーライトという名前の通り青色の成分を含んでおります。今までこの光は短波長であり、短波長は目に対する刺激が強く目にとって網膜に影響があるとか眼精疲労の原因になるといった有害な光であるといわれてきました。スマホやパソコンのようなデジタルデバイスからブルーライトが出ているため、目への影響をさけるためにブルーライトカットをする必要があると言われていたんですね。ただ、知っておかなければならない事はブルーライトは実は太陽光からも自然に出ている光です。
論文による報告ですと、スマホやパソコンのようなデバイスから出ているブルーライトは日中に太陽光から出ているブルーライトよりも量としてははるかに少ないんです。更に言うと晴天の日だけなく、曇り空や窓越しの自然光よりも少ないと言われています。そのわずかながらのブルーライトを積極的にカットする必要はないと言われているんですね。
そのように言われていることも理由の1つですが、子供にブルーライトカット眼鏡をしてはいけない最大の理由はブルーライトをカットしてしまうと、バイオレットライトという小児の近視抑制に有効な光までカットしてしまうことです。バイオレットライトはブルーライトより更に短波長で360〜400nmの光です。ブルーライトの波長の一部に含んでいますので、ブルーライトをカットしてしまうと、このバイオレットライトもカットしてしまうんです。今だと小児の近視抑制で2時間以上の屋外活動が推奨されております、これは太陽光から出ているバイオレットライトをある一定以上浴びると近視進行抑制遺伝子を活性化させるためと言われているからです。
それなのにせっかく外にでて外遊びしていてもブルーライトカットの眼鏡をすることでこのバイオレットライトが目の中に入ることができないんです。そうなると近視がすすむ可能性が指摘されており、このブルーライトカットの眼鏡をすることが目にとって逆に有害になる可能性があると指摘されているんですね。
その他の論文によると、ブルーライトカットの眼鏡をすることはブルーライトカット無しの眼鏡をするより目にとって危険であるという報告もあるぐらいなんです。これが子供にブルーライトカットの眼鏡をしてはいけない最大の理由です。ちなみにですが、バイオレットライトはブルーライトに一部含まれているといってもスマホやパソコンなどからは出ておりません。太陽からの自然光のみに含まれているということも知っておく必要があります。
近視の進行の主な原因は眼軸長が伸びる軸性近視というものです。バイオレットライトはこの軸性近視の進行を抑える効果、すなわち近視進行抑制効果があるんですね。ブルーライトはその他眼精疲労に対して影響がなかったのような報告もあります。ブルーライトを浴びることでメラトニンという物質をコントロールします。日中はこのホルモンが抑制され、夕方ごろから体内濃度が上昇していきます。そうすることでサーカディアンリズムといいますが、一日の身体のリズムを作るために必要と考えられています。ですから、夜にブルーライトを浴びすぎると睡眠障害が起きるなどと言われているので、夜間にスマホやパソコンを使用する場合は使用してもいいのかなと思います。
色々お話しましたので、まとめます。1つ目、ブルーライトが目に悪影響があるという明らかな根拠は小児、成人共にありません。2つ目、ブルーライトカット眼鏡をするとバイオレットライトという自然光に含まれる近視抑制に有益な光までブロックしてしまうので、少なくとも大人になるまではブルーライトカット眼鏡は不要です。3つ目、ブルーライトカット眼鏡が疲れ目を和らげるという明らかな根拠はありません。4つ目、睡眠への影響を考えてブルーライトカット眼鏡をするなら夜間にするならいいですよ。ということになります。
あまりにブルーライトが「悪い光」というイメージがついてしまったため今だと眼鏡屋さんで眼鏡購入する場合ブルーライトカットメガネが標準でついてくることもあるので気にしてみるといいかもしれません。
ブルーライトカット眼鏡実際して楽になったといわれる方がおられるのも事実で、そういう方は継続して使用してもいいと思いますが、特に未成年の方が使用する場合は注意してくださいね。


(2021.7.31)