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8. 近視抑制に効果的なサプリメント

今回は近視の進行抑制のためのサプリメントに関するお話をさせて頂きます。

今までに色々近視抑制には方法があることお伝えしてきました。近視抑制に効果的な方法として現在3本柱がありまして、まずは屋外活動を増やす事が大事で太陽光にはバイオレットライトという近視の抑制に非常に効果がある成分を含んでますのでそれを浴びて二時間以上の屋外活動をすることが大前提で、それに加えてオルソケラトロジーというナイトレンズを使うことが2つ目で最後に低濃度アトロピンによる点眼による方法をすることです。それぞれ以前お話させて頂いたので、以前のブログに載せてありますので良ければご参考ください。これらを単独で取り組むよりはそれぞれ組み合わせることによって効果が増加しますよという話でした。

まずはそちらに力を入れて頂きたいのですが、それ以外にも近視抑制につながるものは色々報告されています。今回はその中でサプリメントに関してお話させて頂きます。時々患者さんから近視抑制につながる食べ物やサプリメントってありますか?よくテレビのCMなどでブルーベリーやルテインをとるといいと聞いたことがあるんですがこういったのを飲んだ方がいいのでしょうか?ということを聞かれたりします。

まずブルーベリーですが、これはテレビのCMなどで多く流れていることもあって、眼科で来られた患者さんは結構飲まれている方がおられます。飲めばあらゆる眼科疾患に聞くかのような宣伝内容であり、飲んだ方がいいのかなと錯覚を覚えるような内容です。ブルーベリーはアントシアニンという成分を多く含まれています。これが何をするかというとロドプシンという夜間視力をあげる色素が眼の中にあるのですが、それを助けるというものです。なので、なんか夜見にくいなという方には飲まれてみてもいいかもしれません。この効能がブルーベリーの主なものなのですが、これを飲むと糖尿病網膜症に効くとか、視力が向上するとか色々言われており万能薬かのような宣伝されておりますが、そこまでの効果は基本ないと考えます。特に糖尿病網膜症の患者さんは糖尿病の管理が何より大事です。HbA1cという値が7を切ることが眼科的な管理でとても大切であると言われているんですが、ブルーベリーを食べることで血糖値を上げることに繋がってしまうので注意してください。

一方、ルテインやゼアキサンチンというキサントフィルカロテノイドは実際加齢黄斑変性症という病気にとってはAREDS(エイレッズ)というアメリカの大規模スタディでエビデンスがあり推奨されているサプリメントとして報告されており私も黄斑疾患がある方には飲むことを勧めたりしております。ただし近視の抑制に対してルテインや先ほど話したブルーベリーは特に効果は言われておりません。近視抑制に関しては別のサプリメントが推奨されており、クロセチンというサプリメントは効果があると言われております。

その効果は論文の報告によると15%程度眼軸長の抑制があるんですね。眼軸長とは角膜から網膜までの長さをいいまして、学童期の近視の原因は眼軸が伸びることによる軸性近視がほとんどです。眼軸長が伸びると網膜上で焦点が合わなくなり、網膜より前に焦点を結ぶ状態になります。すなわち眼軸長が長いほど強い近視となるので、眼軸長が抑えれば近視は抑制されます。大人になってから眼軸長が伸びることはまずないのですが、眼学童期に最も伸びます。なので、成人になるまでは眼軸長を抑制させることがとても大事であるといわれています。クロセチンとは何でしょうか?クロセチンとは天然の黄色カロテノイドでクチナシといった花の果実やサフランに含まれているものです。ニンジンに含まれるβカロテンやトマトのリコピンの仲間で、体の錆つきを防ぐ「抗酸化力」に優れたカロテノイドの一種です。その天然由来の色素が近視抑制遺伝子のEGR1の効果を高めることが分かったのですね。EGR1というと、前回もお話しましたが、屋外活動すると太陽光に含まれている360nm~400nmのバイオレットライトという光を浴びることで活性化するものとして最近話題になっているものです。このEGR1を活性化させることが近視抑制にはとても効果的だと言われており、屋外活動を増やしたり、このようにサプリメントからとるなどしてEGR1を刺激させることはとても効果的と考えられます。

宣伝するわけではないんですが、ロート製薬で発売されており、ロートクリアビジョンジュニアEXという名前で販売されております。1日1回内服するだけでOKです。2019年の8月に報告されたばかりで新たな知見ですが、こういったサプリメントを使いながら近視の治療として意識するのもいいかもしれません。食品ではたくあんやきんとん、もしくはパエリアで使用されるようなサフランに多く含まれているのですが、ほとんど成人になってから食べるものであり、お子様がこれらの食品を意識して食べるのは難しいと思います。こういったサプリメントで決して近視の進行を止めるものではありませんが、両親が近視のお子様であったりすでに近視があるお子様には近視の進行の抑制のために意識して使用するのはいいかもしれません。今回はクロセチンというものが近視進行抑制に効果的である可能性があるという事に関してお話いたしました。眼のサプリメントは様々なものがありますが、成人になるまでのサプリメントとしてはこちらがいいと思っています。


(2021.2.16)