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51. 視野検査の見方 その2

緑内障検査における視野検査の見方の前回の続きをお話させて頂きます。

緑内障になったら静的視野検査を行って経過をみていきまして基本は30-2や24-2という緑内障に特化した視野検査で経過をみていきます。

ただこの部位のどこかに視野の障害を生じたら必ずしも緑内障というわけではありません。それは緑内障は視野欠損をきたす病気ではあるのですが、視神経という部位に特徴的な障害がおき、それに伴う視野欠損が起きる病気だからです。ですので視野欠損と視神経の欠損部位が必ず一致していなければなりません。

実は緑内障において視神経に障害が受けやすい部位というのはだいたいきまっております。視神経を時計として障害部位を記載する事が多いのですが、一番多いのは視神経の下方正確に言うと右目なら7時方向からの障害でありその次に上方、11時方向です。

視野は反転しますから下方の視神経障害が起きる結果上方の視野変化を認めます。

障害を受けた部位に対して光の感度が落ちてきます。どの部位から障害を受けやすいかいうとnasal stepといいまして上方の中でも鼻側からの欠損が多いです。

耳側から欠損が起きることはないのかということになりますが、ないわけではないですがやはり稀です。そのため初期の緑内障の欠損に対して鼻側に欠損がないか、もしくは感度低下がないのかを注意深くみます。これは何故かというと緑内障の視神経の障害は網膜神経節細胞の障害が起きて視野欠損が生じていき、じわじわと視神経線維層
にそってダメージを受けていくわけなのですが、視野の障害は視神経より遠方の障害から出現すると言われております。


この部分は眼底でいうと耳側なのですが、以前にお話した通り眼底の起きている現象と実際の視野に反映される欠損は反転しますのでこの耳側の部分は視野でいう鼻側に該当します。なので視野欠損
は鼻側から生じまして視神経の走行に沿って耳側に向かって視野の欠損が出てくるですね。


ですからこの範囲に沿って視野障害が進んできた場合はまだ眼圧下降が不十分なんだと考えられる一つの判断材料になります。このように緑内障は特徴的な視野欠損をするのですが、視野欠損があれば緑内障だというわけでは決してないんです。冒頭でお話しましたが視神経の状態と視野欠損の状態が一致しているのが大前提です。

鼻側に欠損がなく耳側のみに視野欠損があれば通常の緑内障の視野欠損パターンと異なるわけです。そうでない場合は緑内障による視野欠損ではなく他の疾患による可能性を考えなければなりません。緑内障と非典型的と考えられる場合は頭の中をMRIで調べて視経路の中で視野変化を起こす頭蓋内の病気を検討する場合もあります。

緑内障の視野検査は自覚検査ですから、初めてされた方には僕らは参考程度にしかみないこともあります。きちんと正確に検査が行えるようになるには平均で5~7回程かかると言われています。今までの動画でもお話した通り正常眼圧緑内障であればゆっくり進行していく病気なのであえて早めに治療をせずにある程度正確なデータがそろったところで治療が開始されることもあります。

もちろん緑内障として待ったなしの場合はこのような事をせずにすぐに治療開始となるわけですが、緑内障と診断された場合生涯治療していくことになります。その中で治療を行っていなかったときの状態をきちんと把握しておく事がとても大事なんですね。いきなり治療を開始すると今後視野検査をして視野の判定が悪かった場合目薬による治療が不十分で悪くなっているのかそれともただ単に最初の視野検査が上手にできていなかっただけで悪かったという可能性もあります。

ところでこの30-2でいう76点は場所によって重症の重みが違います。

最も重要でないところはどこかというとそれは前回もお話した通り最周辺部です。この部位は視野欠損があっても眼鏡のフレームによる影響やご高齢の方だと瞼が落ちたりして値が変動しやすく正確に評価しにくい部位だからです。この部位に欠損があったとしても重要度からいうと低いです。逆に最も大切な部位はどこでしょうか?視力低下
を感じやすい点は真ん中の0°付近の測定点です。この中心付近の点はいわゆる黄斑という視力の要となる部位です。この部位がどの程度やられているかどうかというのはとても大切です。そして先程もお話しましたが、76点の内外になればなるほど重症度という点でいうと下がってきます。何故かといいますと、それは離れるにつれて視力としては影響を受けにくくなってくるからです。
なので
極端な話緑内障が進行し視野の欠損が拡大している。でも鼻側から障害を受けた視野が外側に向かって拡大して言った場合確かに緑内障としては進行しているのですが、外側に向かっていく分に関しては視力への影響がなく年齢と進行速度によっては強化治療せずにあえて継続治療として経過をみていく場合があります。なので視野検査のポイントとして中心の測定点ほど大切であるということが一つ言えます。ただし30-2の視野検査であれ24-2の視野検査であれ中心の視野障害を正確に評価するには実は不十分な場合があります。それは黄斑という部分がもっとも大事な部分であることをお伝えしましたが、黄班の範囲はどの範囲かといいますとこの8°以内なんですね。

8°以内は何点あるでしょうか?数えてみると全体の76点の内たった4点しかないんです。

30-2や24-2の視野検査は6°ずつプロットされておりまして間が6°あいてますので偶然6°の部位では感知できましたがその間の部位例えば間の2°の部位、4°の部位で障害があった場合その部位がスルーされてしまいます。30-2や24-2という検査は緑内障の全体像を把握するにはとても素晴らしい検査なのですが一方このような弱点があります、その点を補うのが10-2という視野検査のプログラムになります。10-2という検査は黄班部、中心部位に特化したプログラムです。10-2というのは30-2の視野検査と同様に黄斑部の中心から10°以内の視野が2つあるので10-2という意味です。

何故この部位
のみをとるのかというと、

黄斑部という視力低下に直結する部位を正確に把握するのに重要なデータになるからです。

30-2や24-2という検査のみでは先程もお話した通り本来中心視野にも異常があるにも関わらずスキップされてしまう、すなわち正常と出てしまうことがあるんです。30-2は6°ずつの間隔でプロットされておりますが、10-2というプログラムは2°ずつの間隔でプロットされております。プロット数も68点あり、細かく設定されているため30-2の見逃しを捉える事が可能です。多くのクリニックで施行されている視野検査は30-2や24-2という視野検査がほとんどです。これ自体は悪いことでもなんでもありません。施設によってはこの検査しかしない場合もありますが、時々患者さんから視野検査を2つもするのはなぜですかと聞かれることがあるんですね。今お話した通りですが簡単に言うと30-2は緑内障の全体を把握する検査で10-2は中心視力への影響をみる検査です。

すでにどちらにも欠損がある場合は当然交互に進行状況を把握することが大切になってきます。緑内障における視野欠損は10-15°の領域から欠損が始まり、視神経乳頭に向かって欠損が始まっていきます。ですがこの中心部はほとんどの場合は避けて欠損がはじまりますので10-2の視野検査で障害が最初はでないことが多いです。これが一番多い緑内障の視野欠損パターンです。そのためあえてこの中心部は最初から測定しない事が多いのですが、あくまで一番多いパターンであり例外もあります。中には30-2や24-2の視野検査では異常がなかったのに中心の視野のみ障害があったということも稀ではあるのですがあるんですね。少し専門的な話になりますが神経線維の走行は3タイプありまして弓状線維、黄斑乳頭線維、放射状線維と三つあるわけですが、多くの緑内障でやられる神経線維は弓状線維です。視力で大事な中心部の黄斑乳頭線維は基本的には最後まで障害を受けずに残りやすい特徴があります。なので緑内障がある程度進行しても視力が残ることが多いんですね。いずれにしろ全体像を掴むのが30-2や24-2の検査、視力と直結しやすい部位が10-2の検査でどちらもとても大切な検査です。

ここまでの話をまとめますと

①緑内障の視野検査には30-2というものと24-2というものが中心です。

②30-2、24-2の視野の検査で全体の評価を行い10-2は黄斑部の障害の程度をみます。

③一番多いのは鼻側から中心を囲うように広がっていく視野障害が一番多いパターンです。

④全ての測定点が重症度は同じではありません。測定点によっては進行している場合でもあえて経過を見る場合があります。

という4点です。緑内障の視野検査にはこのように情報がたくさん含まれています。視野欠損が広がっていても経過を見る場合がありますし逆に視野欠損がわずかであっても黄斑部に近い部位に視野欠損がある場合は早めの対応が必要になることもあります。ただ多くの方は視野欠損が進行していたとしても年齢からしたら心配しなくていい方がほとんどです。一番大事な事はきちんと通院して検査をして指示通りに治療していけば問題無いことがほとんどです。

今回は緑内障視野検査の見方の第二弾に関してお話しました。視野検査はまだまだ奥が深くまた続きをどこかでお話しようと思っています。


(2021.10.21)

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