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29. ゲームの時間は1時間まで

近視の予防のための生活習慣に関してお話させていただきます。

春や秋頃になると学校検診で視力検査で引っかかって紙をもらってきて眼科に受診される事があると思います。お子様が知らない間に近視になってしまっていた、もしくは近視がいつの間にかだいぶ進んでいたという事があります。その際によく親御さんから質問を受けるのですが、何分くらいスマホをみさせても大丈夫なのでしょうか?うちの子3時間とか5時間とか平気でゲームしているのですが大丈夫でしょうか。と聞かれることがあります。私はだいたい1日1時間までで、30分やったら30分以上開けてください、そして1日に2回までを基準にしてください。とお話させていただいております。これは後ほどお話ししますが、1時間というのはWHOという大きな機関で推奨されている時間です。ところで長時間スマホゲーム含めたゲーム機をやるのがなぜいけないかというと、ゲームすること自体が目を悪くする影響があるわけではなく近業作業とその時間に関係あるからです。近くでものを見るというのは実はお子様の場合はもの凄くピント合わせに調節力を使うんですね。簡単に言いますと、目に凄く力が入って近くを見ている状態です。この調節が強く働くと目はこの調節に対して何とかしようとし眼軸と言って目を大きくさせて調節力をやわらげようとするんです。この目が大きくなることはすなわち近視を発生させるものです。これが小児の近視の原因の軸性近視というものです。近業作業が近ければ近い程この調節が強くかかりますので、近視進行は進みやすいというデータも出ております。過去のブログで近視の原因から抑制に関するお話は色々させて頂きましたので、よければご参考下さい。
なのでゲームはしないんですけど、うちの子You Tubeをよく見たりします、同じようにうちの子ゲームは全然しないんですよ、本を読むのは好きなんですけど、何故近視になってしまうのでしょうと不思議に思われている親御さんもいらっしゃいますが、近業作業にこのような質的な違いはあってもゲームする事と同じでこれ実は全部同じ近業作業に入りますから注意が必要なんですね。
本を読む事は悪いこととはとても言えませんので、継続して読書する場合は注意点をお話ししております。
このように近業作業と時間が近視を進行させますので注意が必要なわけです。特にこの中で問題になっているのはやはりスマホゲームなどのデジタルデバイスによる影響です、
令和元年の文部科学省のデータだと小学生でのスマホの使用率は30%弱、中学生で60%前後、高校生になるとほぼ全員というデータが出ております。中学生の頃にようやくポケベルが流行った私の時代からしますと、世の中だいぶ変わったなと思います。

インターネットは非常に便利で、スマホの仕様がますます便利になる中でスマホを使うなというのはなかなか難しいと思いますが、使用するなら何とか時間制限して使ってほしいなと思っております。というのも成人になるまで眼のケアは非常に重要で、人生100年と言われている今、一生涯見えるようにするというのは言うまでもなく人生を満喫するために大切な事です。

大人になると、予防への関心が高まると思います。癌の予防のために癌検診を受けたり、肺癌の予防のために禁煙したり、糖尿病にならないために食事管理をしたり運動したり。色々あると思います。私は医師になって医療は日進月歩どんどん進化しているもののやはり予防の大切さを身に染みて実感しており、結局のところ予防に勝るものはない思っております。ただ、幼少時のときは当然、こういった予防への関心はありませんでした。好きなだけ遊び、好きなものを食べてそういったことになにか規制されるというようなことも特別ありませんでした。

何がいいたいかといいますと、多くの病気は大人になってからある程度予防が効くものが多いと思いますが、様々な目の病気の原因のきっかけとなる近視に関しては大人になるまでの頑張りが大事であり、そして、ゲーム機を与えているご家庭の場合は使用方法を子供任せにせずきちんとルールを決めて監視することが大切です。例え近視になってしまったとしてももし近視の程度が弱めの近視ですめば多くの眼科的疾患の予防になります。

テレビの時間やスマホの時間は実は5歳以下のお子様にはWHOという世界保健機構という大きな組織から通達がありまして、①スマホを含めたインターネットは1日1時間まで、②1日3時間以上は外出して外で遊ぶことを言われております。日本の学会でも同様な事が推奨されています。①正しい姿勢で読書や勉強をしましょう ②目と本の距離は30cmは最低でも取りましょう ③携帯ゲームなどは30分以内で続ける場合は30分以上あけて一日2回までにしましょう ④WHOは3時間以上の外出を推奨していますがまずは2時間以上の野外活動をしましょうということになります。成人になるまでできるだけ心がけることが大事だと思います。

なんと日本で香川県はネット依存症に対する取りくみで18歳未満はゲーム1日1時間までという条例を2020年4月に制定されました。この条例は賛否両論ありますが個人的には眼科医の目線からはとってもいいことだと思います。様々な文献からも長期間の近業時間が近視の進行になるのは確実といっていいと思います。シンガポールや中国など日本と同じ近視人口が増加している国ではすでに国家対策として近視予防に力をいれております。香川県だけでなく日本も国家対策として近視予防に取り組んだらいいのになと思っております。
今回は近視予防に対する具体的なテレビ時間などお話しました。参考にしていただけたら幸いです。


(2021.6.25)