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14. 緑内障という病気

眼の病気には様々なものがありますが、緑内障は日本では中途失明1位の眼科疾患です。今回はその緑内障に関してお話させて頂きます。私は長年大学病院の緑内障外来に勤務しこの病気に関しては当時の眼科教授が緑内障の大先生だったということもあり様々な事を勉強させて頂き、今尚興味深く思っている眼科の分野です。ですが、多くの方は緑内障ってなんの病気だろうって思われている方多いんじゃないでしょうか?一方で白内障という病気はご存知の方多いと思います。白内障は手術で治る病気のイメージがあると思いますので、緑内障も同じような感覚で手術したら治りますかみたいにおっしゃられる方も実際みえます。正直私もまだ医学生の頃は緑内障がどんな病気かあまり理解していなかったです、みなさんと同じで白内障ってよく聞くけど、緑内障ってなんだろう。あんまり聞いたことないし、まれな病気だよね?という感覚でした。医学生になってからは急性緑内障発作という医師国家試験で選択肢を間違えると禁忌肢となりうる病気がありまして、急いで処置しないと失明に至る緑内障の病気ってあったので緑内障というとこの急性緑内障発作の印象が強かったです。ちなみにこれはまた別の動画でお話したいのですが、今申しあげた急性の緑内障という病気と今回お話したい慢性の緑内障は病態が全く別物です。少し余談なんですが、医師国家試験には内科とか外科とか全ての科の分野から少しずつ問題が出題されるのですが、眼科の割合ってその中のどのくらいだと思いますか?なんとですね、例年2%切るんです。1.何%とかそれくらいです。ですから、中には医師国家試験は分厚い問題集を何冊も解かなきゃいけないということでその1.何%のための眼科に時間を割いていられないという理由で眼科は捨て門として受験に望む医学生の方もおられました。さらに医者になってからも眼科は研修の必須科ではなく選択科目なので自ら選択してあえて行こうとしないと眼科にかかわることは医者の人生でないんです、ですので結局医学生の間にすこし学んだだけという状態になっていることは他の科のお医者さんあるあるなんですよね。
本題に戻しますが、白内障、緑内障という病気は、白と緑で色の名前が違うだけで似たような名前ですよね、ただ病気としてはもちろん全く別のものです。白内障は水晶体というレンズが白く濁るという加齢現象によって起こることがほとんどで手術によって回復することが可能な疾患なんですが、緑内障というのは目の奥の視神経がダメージを受ける病気です。視神経がダメージを受け見えるところが少しずつ時間かけて欠損していくんです。神経の疾患なので、現状は回復することがない病気なんですね。痛くもなく痒くもなく1年1年徐々に視野が欠けていき、除去に除去にしか進行していかないので緑内障の発覚が遅れることが多く、また片方の眼が悪くなっても良い方の眼で悪い方の眼を脳が補ってしまうので自覚症状は末期になるまででにくい。これが緑内障の怖いところです。ですから早期発見早期治療が非常に重要になります。日本の疫学調査で有名な多治見スタディというのがあるんですが、40歳以上で約5%、70歳以上では約11%となり年齢とともに有病率が増加することが知られております。今後さらに高齢者が増加することから一生視機能を維持するために非常に重要な眼の疾患と考えられてます。1989年以降日本の失明は糖尿病網膜症がトップだったのですが、現在の日本における失明の原因の1位が緑内障なんですね。実に失明されてる方の4人に1人緑内障で失明しているという状態なんです。皆さんグリーンライトアップキャンペーンというのはご存知でしょうか?2015年以降やっている事なんですがだいたい4月くらいに色んな県のランドマークが緑色に光っています。これは緑内障を早期発見しましょうという日本緑内障学会からのメッセージです。まずは40歳以降になったら眼の検診も眼科でして欲しいなと思います。やはり何でもそうですが早期発見早期治療にこすことはないんです。早めに分かりきちんと治療すれば緑内障といえど失明に至ることはほとんどありません。通常会社などでの健康診断だと視力検査だけで、はっきりいってこれだけじゃ全然ものたりません。緑内障のかなり進行した方でも視力は落ちていない方がおり見過ごされてしまう事はよくあるからです。緑内障をチェックするには眼圧検査、眼底検査までは最低限必要です。ですから可能なら40歳以降眼科に行き眼の健康診断してほしいなと思います。これは眼科に限った話ではないのですが、職場等でされる健康診断の項目は検査数が少なく健康診断の結果が良かったから良いというわけではありませんので身体に関しては内科などを受診して出来るだけ人間ドックを受けて欲しいと思います。本日は緑内障に関してどういう病気かということから簡単にお話させて頂きました。今後緑内障の治療法や特徴などをブログにアップしていく予定ですので参考にして頂けたらと思います。


(2021.4.10)